033(おみさ)と申します。長年の音楽鑑賞やライブ通いを記憶だけでなく記録に残してみようかな~
by 033_MFS
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ランド・オブ・プレンティ
LAND OF PLENTY

【9・11同時多発テロの衝撃でベトナム戦争時代の悪夢が甦り、誇り高き自由の地‘アメリカ’を1人で守ろうとしている中年男(伯父ポール)と、アフリカやイスラエルで育ち、10年ぶりに故郷アメリカへ戻ってきた20歳の女の子(姪ラナ)の交流を通して、超大国の病める現実を描いた人間ドラマ。名匠ヴィム・ヴェンダース監督による、単なるアメリカ批判とは一線を画す、温かいメッセージがこもった作品】

ヴィム・ヴェンダースのフリークってほどでもないけど、好きな作品はいくつもあって、U2との親交で更に興味を持った監督である。

監視カメラと盗聴器を搭載した改造ヴァンで、自主的に街中を見回り警備し、アラブ系の人が怪しげなダンボール箱を持っているだけで、不審者と決めつけてしまう、孤独な男。(着メロは合衆国の国歌“星条旗”)
父親が宣教師で信心深く、ロサンゼルスの伝道所に住み(向いにミリオンダラー・ホテルが映るロケーション)、ボランティアをしながらホームレスの支援活動をする、無垢な少女。

アラブ系ホームレスの殺人事件をきっかけに、目的の異なる2人がカリフォルニア州の田舎町‘トロナ’へ一緒に行く、物語の後半からロードムービー色が強くなる。

9.11の日、ラナは中東に居て一般市民がテロの映像を見て歓声をあげていた事実を、伝える。妄想ともいえるテロへの警戒心で無駄な時間と労力を費やしたことに気づき、アメリカを憎んでいる人たちがいることを知ったポールは、愕然としてしまう。2人はさらにニューヨークまでアメリカ横断の旅に出る・・。

極端な行動のポールを滑稽で愚かしいと観ていたが、彼だって戦争の犠牲者なのだ。 ベトナム戦争の後遺症に苦しんでいるのに、愛国心は人一倍強く、切なくなってきちゃう。

軍事に膨大な国家予算を費やしている一方で、国内には大勢の貧困層を抱えている現実。ドイツから移住した憧れの国アメリカに対する監督の、内外からの視点で見たアメリカの矛盾を、中立な立場で描いている。

慈悲深いラナを好演したミシェル・ウイリアムズ(←TVドラマ『ドーソンズ・クリーク』でブレイク)は、ボーイッシュなリヴ・タイラーって感じでカワイイ。
伯父役のジョン・ディールも適役で、多くの作品に出演しているベテラン俳優で、多分何かで見たことあるんだろうな~。
ポールを献身的に協力する助手?役のリチャード・エドソン(←ソニックユースのオリジナルドラマーで『ストレンジャーザンパラダイス』に主演していた彼だったとは!)、ブシェミ級の面白い顔だったぞ。

さすが音楽通の監督だけあって、いい曲揃いだったなぁ。1番多く曲を提供している、世界的にはまだ無名のドイツ出身のトムが、どうやらアクアラングっぽい曲と歌声の持ち主のようだ。原曲に感銘を受けた監督が同じタイトルをつけたという主題歌、レナード・コーエンの渋い歌声は最後にぐっとくる!風景と音楽がマッチしてた。

観終わった後は、解放と希望に、ほんわか心が温まる感動作。次回作『アメリカ、家族のいる風景』も観に行くわ!
by 033_MFS | 2005-12-02 01:25 | 映画
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